第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
「あ…やっぱり分かっちゃったかな……うん、まあ……」
「全然休めてないんじゃないですか?なんか顔色も悪いですよ?」
「実を言うとね…部署替えがあってからちょっと大変でさ…」
「部署替えって、今は養成所の勤務ではないのですか?」
「うん…人手が足りないとかで今の部署に移動になったんだけど…」
少し煮えきらないような態度に何があったのか聞いてみると、葉月さんは事情を話してくれた。
新しく配属された場所は書類仕事が主な部署で。何でもただでさえ膨大な仕事量だというのに、それに加えて緊急で入ってくる仕事が稀にある。
運の悪いことに今月はその緊急の仕事が飛び入りで沢山入ってきて、最初は時間を押して対処していたものの日に日に追いつかなくなり…
勤務時間外も残って仕事をしていたが、それでも追いつかず遂には家に仕事を持ち帰るようになった。
流石に体力の限界だと、上に申し出たものの、君の処理能力の問題じゃないのか?他のやつはこなしている等と言われ、逆に叱責されたんだそうだ。
「人をなんだと思ってるのかってね…養成所時代が懐かしいなぁ」
そう言って力なく笑う葉月さん。無理に笑っているのがとても痛々しく見えて、やっぱり少しでも力になれたら、と思わずにいられなかった。