第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
葉月さんの言葉と期待をしているような眼差しに何を言いたいのかがわかってしまい、慌てて否定する。
「っえ、違います!私たちそんな関係では…っ」
「えー、そうなの?あんずちゃんたら眼鏡も外して可愛くなっちゃってるしさ、二人の雰囲気が随分と柔らかいというか甘い感じがしたから、てっきり恋人同士かと思ったんだけど…」
「ははっ…あんずの言う通りさ、俺は兄みたいな立ち位置だからな」
「そうなんだ。ハズレかぁ。ちょっと残念…というかかなり残念」
鶴丸さんの「俺は兄」という言葉に、胸がズクンと痛む。恋仲に思われて不快な思いをさせるんじゃないかと、そう思って咄嗟に否定してしまったけど…
先に否定したのは私だけど…
鶴丸さんが私なんかを相手にするわけがないと、頭ではわかっていたはずなのに。彼に否定されることがこんなにも悲しい。
「あんずちゃん?」
「あんず?」
俯き何も言わなくなった私に、不思議に思ったのか二人同時に声を掛けられた。はっと我に返り、誤魔化すかのように少し笑ってから葉月さんに声を掛ける。
「葉月さん、なんか元気がないというか、疲れてるように見えますけど、もしかしてお仕事大変なんですか?」