第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
【#3 君と一緒に過ごす時間】
この日を境に、”息抜き”という名目はなくなり、鶴丸さんと甘味処に度々行くようになった。
甘味処だけではなく、食材の買い物をしたり…気が付けばいつも私の側には自然と鶴丸さんがいた。私も、鶴丸さんが側にいるのが当たり前になっていた。
そしていつの日からか鶴丸さんの前では眼鏡をかけなくなった。
「さてと、今日はこんなもんかな」
「これ…一体何に使うんですか…?」
「決まっているだろう?南泉に与えてみるのさ」
「え…」
「どうなるのか興味があるだろ?」
万屋へ行きたいという鶴丸さんに付き合った今日。
そこでお買い上げしたマタタビ。本丸には猫は飼っていないし、野良猫の姿も見たことがない。動物と言えば五虎ちゃんの虎か、浦島さんの亀、そして獅子王さんの鵺くらいしかいない。
料理に使うなんて聞いたことがないし、一体何に使うのだろうと不思議だったのだけどまさか南泉さんに?
南泉さんといえばいつも体を丸めて縁側でひなたぼっこをしていたり、刀装にじゃれそうになっていたり…
まさに猫のような刀剣男士だ。
本人は猫の呪いとか言っていたけど…