第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
「俺があんずと一緒に出掛けたかった。息抜きは本当だが、それを口実に一緒に居たかっただけなんだ」
鶴丸さんの予想外の言葉に驚いてしまい、何を言えばいいのかわからず言葉を発せないでいると、鶴丸さんは気まずそうに口を開いた。
「悪かった…」
少し悲しげな表情をした鶴丸さんを見ていると、何故か胸の奥がざわざわした。
いつも明るくて、元気で、私が驚いて怒ったときも笑っていて…たまに困ったことをするし度が過ぎる時もあるけど…決して人を傷つけるようなことはしないし、彼の行動はいつだって優しさに溢れている。
そんな彼がこんな表情をするなんて。
「きみを困らせたいわけじゃなかったんだ」
「そんなこと…」
「すまなかった」
「…」
「さてと、帰るとするか」
「わ、私は…困ってなんかいません!」
「ん?」
「だから困っていないと言っているんです!困ってなんかいませんし、むしろ楽しかったんです。それに…鶴丸さんとこうしてまた一緒に出掛けられたらいいなって…い、行きたいって、そう思ってました…!だから全然迷惑なんかじゃ、」
「それは本当か!」
さっきまでの表情はどこへやら、とびっきりの笑顔を咲かせながら肩を掴まれ近付かれた。