第1章 君の中に墜ちる
「伽羅ちゃんかい?あんずちゃんが伽羅ちゃんに用だなんて珍しいね」
「ちょっと編成のことで聞きたいことがあるの…」
「そっか、確か鍛練場にいた筈だよ。それよりあんずちゃん、顔色が悪いけど大丈夫なのかい?仕事が大変なのはわかるけど、根詰めてないで少しでも休まないと駄目だよ?」
「そ、そうかな…?…ちょっと疲れちゃったかな?後でちゃんと休むから心配しないで」
私の顔色を心配する燭台切に、体調が思わしくないことをこれ以上察知されては困るので、早々に話を切り上げて足早に鍛錬場へと向かった。
鍛練場に着くと、一人で黙々と木刀を振るっている大倶利伽羅の姿。
大倶利伽羅は私の姿にすぐ気付いたようだが気にすることなく木刀を振り続ける。
かなり前から鍛練しているのだろう、額から汗が滴り落ちていて、首筋にも汗が滲みキラキラと光っている。
彼の邪魔をしてはいけないと思い、ここに来るだけでかなり疲れてしまった体を休ませる為にも、入口の端にそっと腰を下ろした。
目を瞑ると、木刀のヒュンヒュン振りかざす音と大倶利伽羅の息遣いだけが聞こえ、それに合わせて自分の呼吸も少しずつ整っていき、同時に心が安らいでいくように感じた。