第1章 君の中に墜ちる
それに大倶利伽羅ならきっと嫌なものは嫌とはっきり言ってくれるだろうし、変に取り繕うこともしないだろう。
断られる可能性の方が高いがその時は終わりだ、適合しなかった場合も勿論終わり。ほかの男士に頼むなんてことはしない。
大倶利伽羅がどういう決断を下そうとそれに従う。断られた時はこんのすけには悪いけど潔く引退しよう。本丸に残って死ぬことになっては大倶利伽羅にとってあまりにも後味が悪いだろうし、何か適当な理由を作って身体が動ける内に引退するしかない。
そう決意を固めた次の日、大倶利伽羅の姿を探した。ここのところ執務室と私室に籠ってばかりだったから、庭を歩いていると外の景色がとても新鮮に思える。
こんな所にお花なんて咲いていたっけ…?
池の鯉もこんなに大きかったかな…?
少し歩くと息切れがする。
日に日に体力が衰えている。うまくいかない場合はどっちにしろもうここにはいられなくなる…
本丸の景色を目に焼き付けながらゆっくり歩いていると、たった今畑から収穫したらしい野菜が入っている籠を抱えながら燭台切が近づいてきた。
「あれ?あんずちゃん、お仕事は終わったのかい?」
「まだなんだけどね…ちょっと用事があって。あの、大倶利伽羅を知らない?」