第1章 君の中に墜ちる
「はい。実行後、どうしても気まずくなった、とか、苦しい、辛い、という理由でそうされる審神者様も中にはいらっしゃいます。ずっと一つ屋根の下で共に暮らさなければならないのです…そういった判断が必要になる場合も少なからずあるということです」
許可もなしに勝手に記憶を消すなんて…卑怯すぎるのではないか。相手の刀剣がそう望むなら話は別だが…
「利用するだけしてこっそり記憶を奪うなんて、そんな卑劣なこと出来るわけないじゃない…」
「そうですか……では、必要になりましたらいつでもお声をかけて下さい。成功することを祈っております」
「わかった…ありがとう…」
相性の良い刀剣男士が大倶利伽羅か…
大倶利伽羅とは特に仲が良いわけではなくたまに言葉を交わす程度の仲だ。
かといって仲が悪いわけでもないが、主とそれに従う刀、それ以上でもそれ以下でもない。
こんのすけから聞いた時は吃驚してしまったけど、案外大倶利伽羅で良かったのかも知れない。
慣れ合わない彼ならきっと口も堅い。理由を詮索してくるなんてこともしないだろうし、何より戦に重きをおく彼は、私とそういうことがあったとしてもきっと動じないし流されない。