第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
【#2 息抜き】
それから連れて行かれるがまま甘味処の暖簾をくぐった。
「ここの甘味はうまいんだ」
「そ、そうですか…」
にこにこしながらメニューを差し出されて、断るわけにもいかない私はおずおずと受け取った。そしてページをめくりながら何にしようか迷っている間、鶴丸さんは左手で頬杖をつきじっと私の顔を眺めている。
最初こそ気にならなかったが、こうも見つめられると段々と居心地が悪くなってくるというもの。
それに今は鎧でもある眼鏡をかけていないのだ。
「あ、あの…」
じっと見るのをやめてもらいたくて口を開くと同時に、メニューに向けていた視線を鶴丸さんに向けると、バチリとその大きい金の瞳とかち合った。
鶴丸さんの後ろにはちょうど窓があり、その窓から光が差し込むのが相まって、違う意味でとても眩しい。まるで後光のようなそれに、あぁ、神様なんだなあと思い知らされる。
なんて綺麗なんだろう…―
太陽の光で白い肌は透き通るようで、髪の毛もまた透けるかのようにキラキラと輝いている。
鶴丸さんに見惚れてしまっていると、鶴丸さんは私の手元にある開いたままのメニューに手を伸ばし、わらび餅が載っているページを開いた。