第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
「鶴丸国永!!また貴様か!!今度という今度は許さんぞ!!」
初期から固定で近侍をしてくれ私を支えてくれている長谷部さん。そんな私にとってはとても頼りになる存在で、鶴丸さんが私にイタズラを仕掛けるたびに青筋を立て鬼のような形相で追いかけていく。
最初は苦手で接し方がわからなかった彼のことも、飽きることなく私を驚かせようと何かを仕掛けてくる様子が可笑しくて、月日が経つにつれて私も段々と笑顔を見せるようになっていった。
「なああんず、いつも執務室に籠もってばかりいないで万屋にでもいかないかい?」
「そう言われましても責務がありますし…」
いつの日からか長谷部さんの注意も虚しく、鶴丸さんが毎日のように執務室に訪れ入り浸るようになっていた。
そして今日も当たり前のように座卓に置いてあるお菓子をつまみながら寛いでいる。そんな光景ももう日常だ。
「きみは頭が固すぎるんだ。今してるその書類だって提出までまだ期日はあるんだろう?」
「そうですけど、日にちがあるからってのんびりしていては、急な仕事に対処できなくなりますから」
「ごもっともな意見だが、たまには羽目を外すことも大事だと思うぜ」