第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
【#1 始まり】
「よっ。鶴丸国永だ。俺みたいのが突然来て驚いたか?」
鶴丸国永を顕現したのは、審神者になってから数ヶ月が過ぎた白銀の世界。比較的早くに彼はこの本丸に来てくれた。
鍛刀部屋一杯に舞う桜が彼の白をより美しく魅せるかのようで、戦とは似つかわしくないとても美しい神様だと、心から思ったのを覚えている。
触れたら消えてしまいそうなほどに、儚くて…それでいて眩しくて…
そんな第一印象とは程遠い本分だと知ったのは、顕現してからたったの数時間後だった。
「わっ!」
「ぎゃぁっ!!!」
「っはははは!驚いたか?…あぁいやいや、すまん、すまん」
「鶴丸さん!?な、何なんですか、急に…」
「きみを驚かすとこんな反応をするんだな!それにしても、あっははは…!いい驚きっぷりだ!」
初めて驚かされた時に、真っ白い髪と服、白い歯を覗かせて心底楽しそうに笑う彼。そのギャップに驚きすぎてしまったのは言うまでもなかった。
もともと女ばかりの姉妹の中で育った私は、只でさえ男の人に対する免疫がなく、第一印象と全然違う上にやけに私に絡んでくる彼の接し方に戸惑った。