第1章 君の中に墜ちる
「あんずさんっ!俺が勝ち取りました!今夜は俺の部屋で寝て下さい!」
「あ、…はい、じゃあお世話にな、」
「こいつは俺の部屋で寝る」
「は!?」
「え?あ、あの…大倶利伽羅?」
鯰尾にお願いしようと話している最中に大倶利伽羅が割り入ってきて、一言、それだけ簡潔に言い放った後私の手を引きその場から連れ出そうとした。
大倶利伽羅の部屋はそういえば西棟に近い南棟だ。そこも無事だったんだ…良かった、なんて手を引かれながらも呑気に考えている私に鯰尾は慌てて抗議する。
「ちょっと待って下さいって!!あんずさんは俺の部屋で寝るんですよね!?俺がじゃんけんで権利を勝ち取ったんですよ!!」
「あ…え、っと…」
「こいつは俺の部屋で寝る。何度言えばわかる」
「大倶利伽羅貴様!どういうつもりだッ!!」
訳がわからないといった様子で、立ち去ろうとする大俱利伽羅の前を塞ぐようにして文句を言う長谷部。
意見を言うもの、大倶利伽羅の行動に呆気にとられ目を見合わせる者、反応は様々だった。
ついさっき想いが通じ合ったばかりだからか、大胆な大倶利伽羅の行動にどうしても現実味を感じられない私は頭がついていかない。