第1章 君の中に墜ちる
「じゃんけんぽーいっ!!!」
一体誰の部屋に決まるんだろう、なかなか決着のつかないじゃんけんを見守っていると、急に私の体に影が落ちた。
見上げるといつの間にか現れた大倶利伽羅が私を見下ろしている。こちらをじっと見つめる金の瞳は心なしか不機嫌そうだった。
「…大倶利伽羅?…どうかしたの…?」
「…」
大倶利伽羅の瞳が何か言いたそうにしているけど、それが何なのかまでは私にはわからない。
無言のまま私を見つめ続ける金に動揺してしまい、私は何か言わなければと慌てた。
「お、大倶利伽羅は、ご飯ちゃんと食べた?お腹一杯?」
「…」
大倶利伽羅は何も言わない。
訳が分からず小首を傾げていると、検討違いなことを言ってしまったのか、更に不機嫌そうに眇められた金の瞳が私をじとりと見つめた。
その強い眼差しに困惑していると、「やったああ!俺の勝ちいぃぃ!」と鯰尾の声が響いた。思わず声のした方を振り返ると、鯰尾が私のところにやりきったと言わんばかりの晴れやかな笑顔で駆け寄ってくる。
目の前の大倶利伽羅との微妙な空気に耐えられなくなりそうだった私は、鯰尾が来てくれたことに内心ホッとしてしまっていた。