第1章 君の中に墜ちる
新しい本丸に引っ越すまでの間、政府施設で世話になる選択肢もあったが、皆と相談して引っ越すその日まではこの慣れ親しんだ本丸で過ごすことにした。
そのことについては政府関係者も快く了承してくれた。更に短い滞在になるとはいえ、安全確保のため座標軸の変更処置も取られた。
一度襲撃を受けたこの座標はすでに知られており、例え強固な結界が張られているとしても危険だからだ。
お引越しする前に、畑を見に行きたいな…
めちゃくちゃに荒らされてしまったけれど、もしかしたらまだ生きてる野菜があるかもしれない。
鶴丸や短刀達が落書きしたあの壁は残っているだろうか。あの時は歌仙や一期が激怒して、怒りを鎮めようと私も必死に落書きを消そうと頑張ったけど、消えなくて大変だったことが昨日のことのように思い出される。…今となっては懐かしい大切な思い出だ。
そんなかけがえのない思い出を全て、置いていかなければならないんだ…
せめて一つ一つ、この目にしかと焼き付けたい…
皆と過ごした日々に思いを馳せていると、太郎太刀が声をかけてきた。
「主、夕餉の支度にもう少々お時間を頂きたく…なのでその間に湯浴みをしてきたらと思います。幸いお風呂はなんとか入れる状態なのですよ」