刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
俺が五虎退の小虎の世話をしている間に、一期一振があんたの頭を撫でていた…などと言える筈がなかった。
一期一振、あいつは主を女として好いている。
…だからこそ、あの時あいつの行動を止められない自分がいた。少し前まで彼女に恋慕していた己と重なったからだ。
恋仲になっていたのは俺ではなく一期一振、もしくは他の刀剣だったかも知れない。彼女を手に入れることが出来た俺は運が良かった。だからと言って他の連中に彼女を渡すなんてことは到底あり得ないが…俺の心中は複雑だった。
『伽羅坊、まだ主と体を契っていないのか。さっさと縁を結んで牽制しておかないと、他の刀剣にかっさらわれるぞ…』
『焦っても仕方がないだろう。…それにあいつはまだそんな段階じゃない』
『いや、焦るべきだ!伽羅坊も知っているとは思うが、主を好いている奴は沢山いるぞ。恋仲になったことが皆に知れた事である程度の牽制にはなっているが…このままのんびりしているといつ主を狙い出すか分からんぞ。寝た子を起こすことになってもいいのか』
『…だからと言って無理強いはしたくない』
『悪いことは言わん、早く事に及ぶに越したことはないぞ、伽羅坊』
ふと、大分前に国永と交わした言葉を思い出した。