刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
ここにいるのは確かに私の主。されど、その身体は大倶利伽羅殿の神気を濃く纏っている…それは、彼と身体を契ったという証。
貴女は…
もう私の手の届かない存在になってしまわれた…どんなに私が貴女を手に入れたくともきっとそれはもう叶わない…
まだ婚姻関係ではないことをいいことに、貴女を無理やり私のものにし、大倶利伽羅殿との縁を上書きすることも可能だが…そんな事出来る筈がない。
胸の内が締め付けられる思いに駆られ、思わず手を伸ばす。
──今、この時だけは、貴女に触れることをお許しいただきたい。
主の髪の毛を一束掬い上げ、口付けを落とし秘めたる想いを口にする。
「お慕い申し上げております…」
そして…今、この時を持ってこの気持ちを封印し、ただ一振りの刀剣として、臣下として貴女の側にお仕えお守り致すことをお約束します…と心の中で誓った。
…
…
雨がしとしとと降り続いている音、隣から聴こえる規則正しい小さな寝息。
なんと穏やかな時間だろうか。
主の頭を弟にするようにそっと撫で、暫く庭を見つめていると大倶利伽羅殿の気配がした。
気配のする方を向くと、私と同じ金色の双眼と視線が合わさる。