刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
まだ年若い目の前の女性が主だと知ったときには、このような年端もいかない娘がこの私を振るって戦うというのか…と驚きを隠せなかった。
しかしそれは杞憂で、刀を振るって戦場に繰り出すのは自身だった。
刀だった私が人の身を得ていることに更に驚いたが、それよりも彼女を纏う澄んだ霊力と、ひだまりのような笑顔に私は瞬時に心を奪われてしまっていた。
仮にも主に対して、そして主従の関係でありながらこのような想いを抱いてしまうなんて。叶わぬ恋…そう思い悩んだ末にこの恋心に蓋をし、臣下として彼女に仕えようと心に決めた。
されど…
貴女は…
大倶利伽羅殿と…
主の頬にそっと触れると、ピクリと手が動いた。失礼致します…心中でポツリと呟き思わずその手をそっと握る。自身の手より幾分小さい手は、弟達のそれに比べても思いの外柔らかかった。
「ん…からちゃん…」
「…」
愛する恋刀の名前を、寝ぼけながらもはっきりと口にした主。
その名を呼ぶ声は、彼への想いが伝わってくるような慈愛に満ちた声。そしてなんとも幸せそうな寝顔だった。
──私を大倶利伽羅殿と間違えておられるのか。
胸の奥がチクリと痛んだ。