刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
琥珀色の瞳が瞬きをする度に大粒の涙が頬を伝う。鼻を啜りながらも懸命に説明する五虎退。
目を離した隙に一匹いなくなった。暫くはすぐ戻ってくると思い気にしていなかったけど、戻らず心配になり探しているのだと。
「この本丸の外には出ることが出来ないから必ず見つかるよ、心配しなくていい。私は向こうを探すから、五虎退は虎がいなくなった周辺をもう一度探しなさい。分かったね?」
「は、はい。いち兄」
弟を励まし、自身も虎を探しながら本丸を歩いた。あの角を曲がれば執務室。主にも虎をお見掛けしなかったか聞いてみるのもいいかも知れない。
そう思い、角を曲がれば縁側に人影が。
「…?」
見ると主が眠っていた。
近侍の大倶利伽羅殿の姿は側に見当たらない。彼が主の側を離れるなんて、珍しいことがあるものだ…
辺りを軽く見渡すものの、大倶利伽羅殿はいないようだった。
このまま一人にしていく訳にもいかず、私は主の横に腰を下ろした。
主を見ると、大倶利伽羅殿の上着を羽織りすやすやと気持ち良さそうに眠っている。そういえば、主のこんなお姿を見るのは初めてかも知れない。