刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
ふと脱衣場の鏡に写った自分を見ると、雨の中更にずぶ濡れの虎を抱いていたことによりシャツは水浸し。顔と髪の毛も虎の涎でべたついている。
時計を見ると、演練までまだ時間があった。
俺は顔を洗い、頭をタオルでガシガシと拭きながら一度縁側に足を向けた。彼女がまだ寝ていたらこのまま早々にシャワーを浴び、起きていたらその旨を伝えなければ、と。
縁側が見える場所まで歩みを進めると、寝ている彼女の隣に腰を下ろす一期一振の姿が目に入った。おそらく彼女が一人だったから心配して付いているのだろう。
一期一振が側にいるその光景に、少しの胸のざわめきを感じながらも俺は再び大浴場に向かった。
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(一期一振side)
「いち兄!」
「五虎退、何があった?」
「虎くんがっ、ぐすっ…ど、どこにもっ」
「落ち着きなさい、泣いていたら分からないよ。ほら、深呼吸して…」
「は、はい…ぐすっぐす…」
背中をポンポン叩きながら宥めると、少し取り乱していた五虎退も落ち着きを取り戻すように大きく息を吸い深呼吸する。そして私の目を真っ直ぐ見つめ話を始めた。
「あ、あの…グスッ…と、虎がいなくなりました」