第25章 王都の舞踏会
ペトラの大胆な意見にマヤは驚く。
「えっ、そんなこと… あるかな?」
「あるよ、ある! あのハンジさんだよ?」
「うん…。でも兵長が次回はないって言ったとき、もう本当にどうしようかと思ったよ?」
「確かにね。あのときは私も、ハンジさんが余計なことを言うから… って思ったわ…」
二人は顔を見合わせると、そのときの心境を思い出してため息をついた。
「でも結果オーライなんだし、やっぱ兵長がハンジさんの術中にまんまとはまったんじゃないかな?」
「そうだね…。私もそんな気がしてきたよ…」
ついにはマヤも、ペトラの意見になびいた。
「きっとそうだよ。さすがハンジさんだね!」
ペトラは片目をつぶると、再びパンを口に放りこんだ。
「うん!」
マヤは恐らく恋の後押しをしてくれたハンジと、いつも変わらず味方でいてくれるペトラに感謝の気持ちで胸をいっぱいにしながら、シチューを口にした。
翌朝、立体機動訓練の森。
前夜は早めに床に入りよく眠ったマヤは、朝方のひんやりとした空気を思いきり吸いこんだ。
「おはよ!」
いつもどおりにオルオが二人分の立体機動装置を抱えて走ってきた。
「おはよう、オルオ」
「ほら、お前の」
「ありがとう」
立体機動装置を受け取ると慣れた手つきで装着する。カチカチッとトリガーの感触を確かめたのち、カチッ!と引けば勢いよく射出したアンカーが枝に突き刺さる。パシュッ!とガスを噴出させて樹の枝に移動した。
枝の上でならんだ二人。
「……飛ぶ前に話がしたい」
めずらしく真剣な様子のオルオに、マヤはうなずいた。
「うん。私もなんとなく、話があるから誘ってくれた気がしてたよ」
「話が早くて助かる」
どちらからともなく枝に座ると、遠くで鳥の声がする。
ピッピッピッ、ヒーヨヒヨヒーヨ。ピッピッピ、ヒーヨヒヨ。
「ヒヨドリが鳴いてる…」
思わずつぶやいたマヤ。
「この鳴き声って結構耳にするよな。ヒヨドリっていうのか」
「そう。つんつん頭の可愛い子よ」
「へぇ…。お前って鳥とか馬とか好きだよな」
「うん、動物はみんな大好き!」
「そうかよ」
オルオは動物が好きと言ったマヤの笑顔をまぶしく思いながら、自主練に誘った理由を話し始めた。