第25章 王都の舞踏会
「ぶっちゃけペトラのことなんだけどよ…」
そう切り出すオルオの少し赤い顔を見て、マヤは内心で “もちろんそんなの、わかってるよ” と思った。
「二日後に王都に来いとか、舞踏会とか、貴族がドレス作ってくれるとかよ…。どうなってんの? 団長室に呼ばれて、それだけ聞かされてペトラとマヤはヘルネに連れてかれて夜まで帰ってこねぇしよ…。ちんぷんかんぷんなんだけど?」
「そうだね。よくわかるよ、オルオ!」
「へ?」
「まさしく私も、ちんぷんかんぷんだもの。本当に一体なんなんだろうね?」
「なんだ…。マヤもわかんないのか…」
マヤに訊けばすっかり疑問が解決すると楽観視していたオルオは、がっくりと肩を落とす。
そんなオルオを見て慌ててマヤはつけ加えた。
「あっ、でももちろんディオールに行ったんだし、オルオよりはちょっとだけ知ってるよ。あのね…」
マヤはペトラを指名した貴族が “飛ぶ鳥を落とす勢い” のグロブナー伯爵であること、その子息の要望でペトラを急遽明後日の舞踏会に招待したこと、あつらえるドレスはペトラにだけ色の指定があったことを伝えた。
「……色の指定?」
「うん。純白」
「白いドレスか…。なんか理由でもあんの?」
……オルオは男の子だから、ぴんと来ないのかな?
マヤはそう思いながら、答えた。
「グロブナー伯爵がどういう理由で純白を指定したのかはわからないけどね、“純白のドレス” といったら私やペトラはどうしてもウェディングドレスを想像しちゃうの」
「あぁ!」
はっきりと “ウェディングドレス” と言ったことで、オルオにもぴんと来たようだ。
「なるほどな。そう言われたら結婚式で花嫁が着てるのって白だよな」
「でしょう? だからペトラと二人で貴族のご子息に見初められたのかな? とか言ってたんだけどね…」
そこまで話してマヤは、オルオの表情が険しいことに気づく。
「あっ、もちろん冗談でだよ? 半分冗談でペトラが可愛いから見初められたんだねとか言っただけだよ?」
「あいつは…!」
オルオの大きな声に驚く。
「ペトラは、冗談抜きで可愛いだろうが!」