第25章 王都の舞踏会
「あぁ、そうだろうな」
いち早くミケが賛同した。なにしろ一番近いところでミケは、リヴァイとマヤを見てきたのだから。
エルヴィンは何も言わない。
だが、勘のいい彼は察しがついている。実際に自身の目で見たことしか信じなくても、数少ない目撃ではあるがリヴァイのマヤに対する視線ひとつで、そこに秘められた想いの大きさを充分に推し量ることができる。
ラドクリフだけが、壁外調査から時が止まっていた。
「なぁ、ハンジ。いまいちよくわからんのだが…。確か壁外調査でリヴァイがマヤに惚れてるってのは、あのとき本部で聞かされたけどよ…。マヤとデート? マヤとリヴァイの恋? マヤも惚れてるのか? そんなこと聞いてないぞ? というか俺はいまだにリヴァイがマヤに惚れてるという話も信じられないんだがな」
「はぁぁ…」
ハンジはラドクリフの森の熊みたいな図体、人の良さそうな真ん丸の顔をまじまじと見つめながら大げさにため息をついてみせた。
「ラドクリフ、君は花ばかり世話してないで、もっと周りを観察した方がいいねぇ!」
「なんだよ、余計なお世話だ! 誰も彼もが、なんでもかんでも俺のこととなると花花言うのはうんざりなんだが」
憤慨しているラドクリフ。
「いやいや、それは君が悪いんだよ? 大体ここに来てからずっと、何を考えていたんだい?」
「何をって…、花…」
花の手入れが残っているから早く終わらないかなと思っていたと言いかけて、ラドクリフは黙る。さすがに今、花が~と言えば分が悪い。
しかしハンジは聞き逃さなかった。
「ほらね! 花のことで頭がいっぱいだったんだろ? さすが花博士だね。エルヴィンが我々幹部全員をここに呼んだのは、明後日の舞踏会の対策を練るためだというのに、君の頭の中は花だらけの花畑状態。それじゃあ、みんなに花花言われても文句は言えないと思うよ?」
「………」
言い返せないでいるラドクリフに “あっ” とハンジはつけ加えた。
「あっ、訂正! リヴァイだけはエルヴィンが招集をかける前からこの部屋にいたんだったね!」