第25章 王都の舞踏会
………。
とっさにリヴァイはハンジに何も言い返すことができずに、ただ立ち尽くす。
リヴァイの白く小さな顔がわずかに赤くなったのを、ミケは見逃さなかった。
もちろんハンジも。
そしてリヴァイには背を向けているエルヴィンにすら、心拍数が上がったことを気づかれている。
ただひとりラドクリフだけは、なぜリヴァイが黙ってしまったのかを理解できずにいた。
「……別に、そんなんじゃねぇ」
ようやくリヴァイはそれだけ言い返すと、怖い顔をして団長室を出ていった。
バタン!と乱暴に閉められた扉。
「……ホントに可愛いねぇ、リヴァイは」
ハンジが閉まった扉を眺めながら言えば、ミケも、
「あいつは “素直な男” だからな」
と同調し、エルヴィンが、
「ハンジ、性急に事を進めるな。まとまるものも、まとまらなくなるぞ」
とたしなめた。
「いいや、ちょっとからかったところで、あの二人は大丈夫じゃないかな? マヤはまだ自分の気持ちをどう扱っていいかわかってなさそうだけど、リヴァイは決定だと私は考えている」
「何故そう言いきれる?」
「エルヴィン…、ミケもラドクリフも。中途で入団してきたときからリヴァイを見てきただろ? 最初は一緒にいたファーランとイザベルにしか心をひらいていなかったけど、彼らが死に、ともに命を懸けて戦っていくうちに紛れもない仲間へとなっていった。リヴァイは仲間に対して分け隔てなく接してきただろ? それこそおのれの命を張って守ってきた。リヴァイの強さに… 優しさに、仲間や上司としての絆以上の感情を抱いてきた女をたくさん知っているよ。でも今まで誰に対してもリヴァイの態度は、いや顔色ひとつ変えることはなかった。だけど…」
ハンジはそこまで一気に話すと、意味ありげにゆっくりと全員の顔を見渡した。
「マヤが初めてだよ。リヴァイが特別な態度を見せる相手は。リヴァイが入団してから4年、ずっとそばで見てきたんだ。最近のリヴァイのマヤへの態度は間違いなく “揺るぎない想い” そのものだよ」