第25章 王都の舞踏会
「エルヴィン、それは団長室にいる方が情報が入ってくるだろうし、マヤたちが帰ってきたら一番にやってくるだろうし、そういう理由じゃないかな?」
そうハンジはリヴァイが団長室の窓際に張りついた理由を考察したが、すぐに “あっ” と違う理由が思い浮かんだ。
「それとも、もしかしたら… 自分の執務室で一人で待っていたら心配で心配でどうにかなってしまいそうになるから、あえてエルヴィンのそばにいたとか? ねぇ、どうなのリヴァイ? 正解?」
「……黙って聞いていたら勝手なことばかり言いやがって…!」
リヴァイの眉間の皺が恐ろしく深い。
「ペトラがクソ貴族に舞踏会に出ろといきなり言われてドレスを作る? ふざけんじゃねぇ、意味がわかんねぇだろ。それで大事な部下が二人も連れてかれたんだぞ? 気にかけるのは当たり前だろうが…。大体…」
リヴァイはエルヴィンの背後から睨みをきかす。
「あんな得体の知らねぇババァを信用して二人を預けて良かったのか。結果として帰ってきたからいいようなものの…」
ハンジが口を挟んだ。
「おや? リヴァイ。めずらしくよくしゃべるねぇ? なんだか私には、帰ってこないマヤが心配でたまらなかったことから、仕立屋が信用できるかどうかに無理やり話の内容を変えようとしているみたいに聞こえるよ?」
眼鏡の奥の瞳が面白がっている。
「バカ言え。俺は元々、結構しゃべる…。それにあの女がどこの馬の骨だかわからねぇのは本当のことだろうが…」
「へぇ…、そうなのエルヴィン? 仕立屋からここに来た人は馬の骨だったのかい?」
ハンジがエルヴィンに問うと、
「エステルさんとは旧知の仲だ」
しれっと答えるエルヴィン。
「は?」
エルヴィンとエステルが知り合いだなんて寝耳に水のリヴァイの顔は、明らかに動揺していた。
「彼女には王都の夜会によばれるようになった最初のときから、世話になっているんだ」
「チッ、そんなの聞いてねぇ。それに少なくとも俺は、あの女を夜会で見たことはねぇが」
苦々しくリヴァイは舌打ちをした。