第25章 王都の舞踏会
「……何を言っている。そんなことは別にねぇだろうが」
ぼそっとつぶやいたリヴァイに容赦なくハンジはたたみかける。
「あれ~? リヴァイ、無自覚なの? ねぇ、無自覚な訳? じゃあわかるように、みんなに訊いてみよう。ミケ、リヴァイの今日の行動について何かいつもと違ったところはあったかい?」
にやにやしながらハンジとリヴァイの話を聞いていたミケは、急に話を振られて眉を高々と上げたが、すぐに答えた。
「午後の執務の休憩時間に用もないのにやってきて、居座りつづけたな」
「は? 休憩時間にてめぇのところに行くのは、いつものことだろうが」
リヴァイは反論したが、すぐに沈められる。
「マヤがいて紅茶を淹れるならばな。だからマヤがいなければ飲む紅茶もないし、リヴァイが俺の部屋で休憩する理由は別にないんじゃないか? それなのにお前ときたら、マヤが帰ってくるのを待ち構えるように居座るし、仕事がやりにくくて仕方がなかった」
「………」
反論できないリヴァイをちらりと横目で見て、ハンジは今度はラドクリフに訊く。
「ラドクリフは?」
「俺は昼休みに正門のところの花壇で花の手入れをしていたんだが、リヴァイがうろうろしていたな」
「ほぅ?」
ハンジとミケのにやけ顔が止まらない。
「だけど俺は別に、仕事がやりにくいってことはなかったがな」
「ハッ、てめぇの花いじりは仕事じゃねぇだろうが」
もはや正門のあたりをうろついていたことは否定できず、花いじりが仕事かどうかなどと、どうでもいいことでしかリヴァイは反論できない。
「私の場合は…」
興味深そうに一連の流れをじっと見ていたエルヴィンが、ハンジに訊かれてもいないのに口をひらいた。
「夕方からずっと、背後の窓にリヴァイが張りついて外を睨みつけているのを不思議に思っていた。自分の部屋から見張ればいいと思うのだが?」