第25章 王都の舞踏会
ぷんぷんと怒りながら、ずんずんと団長室の前まで進む。
「マヤ! さっさと報告を済ませて食堂に行こ!」
「うん」
ペトラは扉をノックするこぶしを作って、すぅっと息を吸った。コンコンとノックをしながら入る。
「失礼します」
団長室に足を踏み入れた途端に、ハンジの大声に迎えられた。
「おかえり~! みんな、お待ちかねだよ!」
……みんな?
マヤの疑問はすぐに解消できた。
団長室はすし詰め状態だった。
正面の執務机にエルヴィン団長。窓を背に腕を組んで立っているリヴァイ兵長。
そしてソファにミケとラドクリフが互いの巨体を邪魔に思いながら、窮屈そうにならんで座っている。その向かいに悠々と、一人で足を組んでいるハンジ。
団長、兵士長、分隊長の幹部が一挙に勢揃いだ。
「ただいま戻りました」「遅くなって申し訳ありません」
幹部全員が自分たちの帰りを待っていたかと思うと、足が震えそうになる。
「ペトラ、マヤ、ご苦労だったね。ドレスは完成したのかな?」
おだやかな笑みを浮かべているエルヴィンは静かに問う。
マヤと一瞬視線を交わしてうなずき合うと、代表してペトラが答える。
「いえ、まだです。仮縫いまで終わり試着したところで私たちは帰されました。今日は夜を徹して仕立て上げ、明朝に完成するとのことです。その出来上がったドレスの試着にもう一度、ディオールに来てほしいと言われているのですが…、よろしいでしょうか?」
「あぁ、かまわない。今は明後日の舞踏会に参加することが君たちの最優先任務だ。そのためには是が非でも先方が所望するドレスを完成させなければならない」
ハンジが割って入ってきた。
「へぇ~! 明日も行かなきゃ駄目なのか。何時に呼ばれてるんだい?」
「9時です」
「ふぅん。明日はすぐに帰ってくるんだよね? 」
「……多分?」
ペトラは確信がなく、そう答えた。マヤも隣で小さくうなずいている。
「明日はとっとと帰ってきてくれないとさぁ、リヴァイがイライラしちゃって大変なんだよね!」
「……あ?」
窓際に立つリヴァイが低い声を放つ。
「何をすっとぼけてんだよ、リヴァイ! マヤが帰ってこないからってイライライライラしちゃってさぁ。今にもヘルネに飛んでいきそうだったじゃないか!」