第25章 王都の舞踏会
「えぇぇ… 腐ってるはひどいなぁ…。あっ… そうだ、ごめんね? ペトラは私の体調を心配して勝手に予定入れるなって言ってくれたのに…」
「うん、いいよ。マヤが飛べるんなら全然問題ない。ただ勝手に許可書を出そうとしたオルオの考えなしの行動にイラっとしただけ! あ~、疲れてると余計にイライラするわ」
「そうだね、今日は色々あって疲れたね。疲れてるんだけど、飛びたいかも」
「疲れてたら休みたいとか、寝たいとかじゃない、普通。それを飛びたいだなんて、マヤったら変なの!」
幹部棟の二階を目指して一段ずつ階段を上りながら、ペトラは笑った。
「あはは、そうね。飛んだら余計に疲れちゃうね! でもね、この間の雨でね… 立体機動の訓練が流れちゃったし、ちょっと飛びたくてうずうずしてるんだ」
マヤは四、五日ほど前につづけて降った大雨で、中止になった立体機動の訓練のことを思い出していた。雨で流れてしまった訓練は座学や立体機動装置の手入れの時間に化けてしまった。それはそれで、どちらも大切ではあるし決して嫌いな訳ではないのだが、マヤは何よりも立体機動装置で風に乗って飛ぶのが好きなのだ。心から。
「そっか。マヤは飛ぶの好きだもんね! 本当に速いし。明日もオルオの馬鹿に勝ちなよ?」
「了解!」
ちょうど二階に到着した二人は、奥にある団長室へ急いだ。
リヴァイ兵長の執務室の前を通りかかったときに、ちょうど扉が勢いよくひらいて、中からオルオが出てきた。
「マヤ、兵長はいなかったけど、使用許可申請書は机の上に置いといたから」
「わかった。団長に報告したら、兵長とミケ分隊長にも報告しようと思ってるから、そのときに言っておくよ」
「おぅ、頼んだ。じゃあマヤ、明日な! ペトラもまたな!」
片手を上げると、オルオは去っていった。
「はぁい、明日ね!」
マヤはにこやかに手を振ったが、ペトラの機嫌は悪い。
「……何がペトラ “も” よ! 人をついでみたいに…!」