第25章 王都の舞踏会
マヤが隣に座るペトラの顔を見れば、まぶたが下がってきては、ぱちぱちと瞬きをしていた。
「ペトラ、眠いの? 大丈夫?」
「なんかさ… 急にすごい眠い…」
団長室に呼ばれてからの緊張、初めてのドレス選びに採寸、豪勢なランチ、座り心地の良い上等の皮張りのソファ。
腹が満たされれば、緊張からも解放され眠気が襲ってきたのだ。
「……ちょっと肩…、貸し… てね…」
マヤの肩にちょこんと頭を預けて、そのまま寝入ってしまった。
「もう、ペトラったら…。ふわぁ…」
すーすーと寝息を立てている友の顔を見ていると、マヤまであくびが出てきてしまう。
高級な仕立屋のショールームで二人そろって眠ってしまうのは、きっとあまり良くない…。
……でも… もう限界…、このまま寝ちゃってもいい… かな…。
マヤは素直に睡魔に服従することにした。
「……ペトラ様、……マヤ様…」
遠慮がちに声がかけられる。
マヤがゆっくりとまぶたを開けると、クリスが申し訳なさそうに立っている。
「あっ、ごめんなさい! すっかり寝てしまって…」
「いえ…。よく眠ってらっしゃったのでお声をおかけするのは忍びなかったのですが…、仮縫いが終わりましたので…」
どれくらい眠っていたのだろうか。ショールームの大きなガラス窓から入る光はもうすっかり薄暮のものだ。
「ペトラ! ペトラ!」
まだ肩で寝ているペトラを揺り起こす。
「ん~、あれ? マヤ?」
寝ぼけまなこのペトラは、いつもより何歳も幼く見える。
「仮縫いが終わったんだって」
「ほんと?」
ペトラの眠気は吹き飛び、しゃきっと体を起こした。
「左様でございます。お二階へどうぞ」
クリスの案内で再び二階へ上がる。螺旋階段をひとまわり、ふたまわりするごとにドレスへの期待感が高まった。