第25章 王都の舞踏会
「関係なくないよ! 明後日には私たちも連絡船に乗るのよ?」
「……あっ」
クッキーを頬張っているペトラの手が止まる。
「多分、私たちも始発の船に乗るだろうし、そうしたらペトラ、すごく早起きしなきゃいけないのよ?」
「え~、やだ~!」
朝が苦手なペトラは思いきり嫌そうな顔をしていたが、ふっと気づく。
「いやちょっと待って。舞踏会当日じゃなくて、前日… つまり明日に行くってパターンはないの?」
「それだったら二泊することになるでしょ? それはないんじゃない? ほら団長や兵長が王都に行ってるときって、確か一泊だよ?」
「……そっか…。舞踏会ってやっぱ夜にあるだろうしね。その夜は絶対泊まりだもんね」
「そうそう、そういうこと。でね、私… 連絡船に乗ったことがないのよ。多分、ペトラもないでしょ?」
「うん、ない」
「初めて乗る船…。それも長時間…。船って船酔いするらしいから、今から心配…」
マヤは初めての船旅を心配するあまり、クッキーのことはすっかり忘れてしまっている。
「まぁ確かにそう言われたら、ちょっとどうなるか不安だけどさ… 大丈夫なんじゃない? 乗ってみて船酔いしてから考えよう! 最後のクッキー、もらうよ?」
「うん…」
マヤは紅茶を飲みながら、うなずいた。
「そんなことよりさ、今日のことだよ!」
ペトラが最後のクッキーをむしゃむしゃと食べながら言う。
「うちらって今日、何時に帰れるんだろう?」
「うーん…、そうね…。仮仕立てが終わったら試着するでしょ? それが終わったら帰れるみたいだから、夕方… いや夜になるかも? 下手したら明日なんてことも…?」
答えながら突如、団長室での兵長とエステルの会話を思い出したマヤ。
「あっ、ほらエステルさんが、兵長に今日中に帰すって言ってた!」
「そうだったっけ? もうあのとき頭が真っ白で憶えてないや…」
「言ってたよ。だから今日中だと思う」
「……了解…」
ペトラの声が途端に気だるい。