第25章 王都の舞踏会
「花… 嫁…? ……花嫁!?」
ゆっくりとマヤの言葉を復唱するペトラの顔が、赤くなっていく。
「ちょっと! 何を言ってんの、マヤ! 飛躍しすぎだってば!」
「でも…、見初められて… その先にあるのって結婚じゃない? それに純白のドレスで連想するのは花嫁さんしかないよ!」
「……そうだよね。でも、そんないきなり結婚なんて、いくらなんでもありえなくない?」
「それはそうだけど…。明後日にいきなり結婚とかではないと思うけど」
「だよね?」
「うん。でも純白のドレスを着せるなんて、やっぱりどうしたって花嫁を連想しちゃうなぁ…」
「まぁね…。見初めた私に疑似ウェディングドレスを着せるなんて、よっぽどその伯爵子息は私にメロメロってことだね!」
にぃっと白い歯を見せて、ペトラは冗談めかす。
「あはっ、そうだね。なんてたってペトラは可愛いもん!」
「でしょ! さっ、食べよ! せっかくのご馳走なんだし。謎のグロブナー伯爵のことは団長に訊くか、あとは明後日に王都に行ったらすべてはっきりするって」
「そうだね。今はこの美味しいランチに集中しよう!」
二人は再び、リッチなランチに舌鼓を打った。
ゆっくりとランチを堪能して “ディオール” に戻ったペトラとマヤは、一階のショールームに設けてある真っ赤な皮張りのソファにならんで座っている。目の前のテーブルには、クリスが淹れた紅茶とクッキー。
採寸が終わり、シャワーを浴びたら兵舎に帰れるのかと思いきや、豪勢な昼食までご馳走になった二人は、こうして “ディオール” のショールームで待機させられている。
「申し訳ありません、ペトラ様、マヤ様。仮仕立てのドレスが縫い上がりましたら、ご試着していただきたく…」
ぺこぺこと頭を下げて謝るクリスに、二人は慌てた。
「謝らないでください! 私たちは今日中に帰れば大丈夫ですので」
「恐れ入ります…。では私はあちらにおりますので、何かございましたらお呼びください」
また深々と頭を下げて、クリスはソファのある位置からは見えないカウンターへ下がった。