第25章 王都の舞踏会
採寸など初めての二人が兵服を脱ぐのをためらっていると、いきなり怒鳴られた。
「さぁ、こっちです! のろのろしないでください!」
脱いだあとも、どうすればわからず戸惑っているとビシバシと怒号が飛んでくる。
その後、あちらこちらを隈なくギュウギュウと巻き尺で測られる。
鬼の形相でペトラとマヤの採寸を終えたジャドは、こう宣言した。
「じゃあ、あたしは仮縫いに入りますので失礼します!」
バタン!と乱暴に閉まった扉の前で半裸で立ち尽くす二人。
「……なんかすごかったね! ジャドさん」
「うん。別人みたいだったね。でもきっと、お仕事に命をかけてるんだよ」
「うちらもかけてるけどね~、命」
「もうペトラったら、笑えない!」
「あはは」
そんなことを言いながら服を着ようとしたとき、エステルが戻ってきた。
「あら、シャワーをどうぞ? ジャドがご案内いたしませんでしたか?」
「はい、何も…」
「申し訳ありません。こちらですわ」
そうして順番にシャワーを浴びて綺麗さっぱりとしたところへ、今度は “もう話は通してあるので五軒先の店で昼食を召し上がってきてくださいまし” とエステルに告げられたペトラとマヤは、リッチな雰囲気のレストランの前で立ち止まる。
「……ここだよね?」
「五軒先だもん、ここだよ」
敷居が高そうな重厚な木製のドアを恐る恐る開けると、ずらりと従業員が待ち構えていた。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
もしかしたら店を間違えているかもしれないと思いながら入店したのに、まさかの総出の出迎えに仰天する。
「あ、あの…?」
「ペトラ様とマヤ様でいらっしゃいますね? “ディオール” のエステル様より伺っております。こちらへどうぞ」
爽やかな短髪の男前の給仕に、窓際の席を案内された。