第25章 王都の舞踏会
純朴なマヤの感想に、エステルも思わず笑う。
「おほほほ、確かにそうですわね。ドレスは誰でもお姫様に変身させてくれるものかもしれませんわ。……お色はどうされます? この淡いピンクはマヤ様の清楚な雰囲気にふさわしいと思いますが、お好みでチェンジされても大丈夫ですよ?」
マヤの選んだドレスは、エステルの言うとおりに淡いピンク… 薄紅梅とも呼ばれる優しい色だ。
絵本のお姫様の頬は、この色に染まっていた。
「この色でお願いします」
「腰のリボンのお色は? こちらもチェンジできますが?」
マヤは少し考えたが…。
「いえ、このまま同じピンクのままで…」
「……同色でと」
エステルは手帳に何やら書きつけている。
「あとはどうされます? 袖にフリルをつけたり、裾にレースを縫いつけたり色々とアレンジは…」
ふとエステルはマヤが遠慮しているのではないかと思い当たる。
「遠慮なさらなくていいんですよ? 伯爵にしたってゴージャスなドレスに仕立てた方がお喜びになりますでしょうしね」
「はい、わかりました。でも…、あの… 舞踏会とかドレスとか初めてだし、あまり派手だと恥ずかしいですし…」
そう言って恥じらうマヤの頬が薄紅梅色に染まる。
「そのお気持ちはわかりますよ。誰でも最初はそういうものです。では靴やバッグもシンプルなものを私の方で見繕いますね」
「はい、お願いします」
さらさらと手帳にメモを取っていたエステルは、次にペトラに訊く。
「ペトラ様はお決まりになりましたか?」
「これにしようと思ってるんですけど」
ペトラはマヤが選んだドレスとは正反対の、比較的身体のラインに沿ったシルエットで、膝上のスカート丈のドレスを指さした。
「こちらですね…。このフォルムは今、社交界で人気ですのでとてもよろしいかと」
「ほんとですか!」
思いがけず社交界で人気だというドレスを選んだペトラは、嬉しそうにしている。