第29章 カモミールの庭で
「貴族の立派な薔薇園があります。そこには赤い薔薇と白い薔薇が合わせて110本咲いています。赤い薔薇は白い薔薇より100本多く咲いています。では、白い薔薇は何本咲いているでしょう?」
「ええっと…、赤い薔薇の花が100本? いえ110本だったかしら? ごめんなさい、もう一度言ってくださらない?」
イルザが全然問題をわかっていない状態に対して、レイはもう答えがわかったらしい。
「おいおい、簡単すぎて暇つぶしになんねぇじゃねぇかよ…」
自信たっぷりのレイを見て、マヤは意味ありげに笑った。
「レイさん、もう答えがわかっちゃったんですか?」
「あぁ、ただの引き算じゃねぇか。子供でもわかる」
「よく考えた方がいいですよ?」
「ひっかけ問題か何かなのか?」
「さぁ…。もう一度考えてから答えをどうぞ」
意味ありげなマヤの笑みを少々訝しく思いながらも、レイは簡潔にひとことで答えた。
「10本」
「10本が答えでいいですか?」
「……は? さっきから変だぞマヤ。全部で110本のうち赤い薔薇は白より100本多いんだろう? だから…」
声に出して考えているうちにレイは何かがおかしいことに気づいたらしい。
「ちょっと待てよ…。あぁ、5本かよ!」
「そうです! 大正解!」
「畜生! もっとちゃんと考えてから答えれば良かった」
相当悔しがっているレイを見上げて、イルザが小首をかしげている。
「ねぇ、どういうことかしら? 私にもわかるように教えて」
「赤と白の薔薇が合わせて全部で110本あるんだ。白が何本あるか当てる問題で、わかっているのは “赤が白より100本多い” ってこと。だから馬鹿なオレは110から100引いて10が答えかと早とちりしちまった」
「あら、違うの?」
「あぁ。白が10本なら赤はそれより100本多いんだから110本。それだと全部で120本になっちまうじゃねぇか」
「ええっと…」
レイの説明をゆっくりと考えていたイルザは、急にパッと顔を上げた。
「本当ね! レイの言うとおりだわ!」
「だろう? だから答えは5本だ。白の5本と、それより100本多い赤の105本で合わせて110本。そうだろ、マヤ?」
「はい、そのとおり。完璧な説明です!」