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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第29章 カモミールの庭で


あっはっはと応接室に公爵の笑い声が響くのと同時に、執事の鑑であるセバスチャンが主たちの邪魔を全くすることなく静かに入室してきて、紅茶を各自の前にならべていく。

その一連の動作が終わり、彼が消えると即座にアマンディーヌが異を唱えた。

「王都にいる者ならば誰でも… ってことはないわよ、あなた。現にここにいるイルザは、誰が求婚しても断っているじゃない」

これで二回目だ、この部屋に静かに座っている貴婦人の名が出るのは。

先ほどバルネフェルト公爵がその名を出したときと違って今回は、そこにいる全員の視線が一斉に注がれた。

イルザという名の貴婦人は、注目を浴びて恥ずかしそうに頬を染めてうつむいた。

「アマンダ…」

「あら、ごめんなさい。恥ずかしかったかしら? でも本当のことじゃない?」

相変わらず無邪気な様子で、アマンディーヌに悪気などさらさらない。

「というかエルヴィン団長…、イルザは初めてだったかしら?」

「ええ、お初にお目にかかります」

「そう。じゃあちゃんと紹介しないとね! 彼女はイルザ・ラント前侯爵夫人。あたくしの従姉であり幼馴染みよ」

アマンディーヌの言葉を受けて、イルザは着座したまま優雅に微笑んだ。

「ラント前侯爵夫人、調査兵団団長のエルヴィン・スミスです」

エルヴィンは丁寧に名乗りを上げ、リヴァイとマヤの方にちらりと視線を流しながらつけ加えた。

「リヴァイ兵士長とマヤ・ウィンディッシュです。どうぞお見知りおきを」

「……今日はたまたまアマンダのところに遊びに来たのだけれど。こうして日々勇敢に戦ってらっしゃる調査兵団の皆様にお会いできるなんて、思いがけない幸運でしたわ」

その笑顔はアマンディーヌのような艶やかな派手さはないが、その場が温かくなるような誠実な優しさにあふれている。

「エルヴィン君たちが来ると決まったのは昨日だからね。アマンダもイルザもせっかく彼らに会えたのだから、武勇伝を聞かせてもらうがいい。いいだろう?」

バルネフェルト公爵がエルヴィンに笑いかける。

当然、エルヴィンの返答は一つだ。

「もちろんです。時間の許す限りいくらでも」


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