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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第29章 カモミールの庭で


その言葉に驚いたマヤは、思わず隣に立つリヴァイの顔を見上げた。

「そうなんですか…。でも兵長は難しい本も読むし、字も綺麗ですよね。どこで読み書きを?」

「その気になれば学校なんかなくても、いつでも学べる。読み書きは母親に習った」

「そうですよね…。学校という場所よりも、学びたいって気持ちの方が大事ですよね」

「そんなところだ」

リヴァイは本当は “別に学びたくもなかったがな” と思ったが、隣で納得したようにうなずいているマヤを困惑させないために黙った。

学びたいとか、将来のための勉強とか、そういう境遇ではないのだ… 地下街で生まれ育った子供は。

皆その日その日を生きていくのに命懸けで、学ぶ余裕などない。

……余裕なんかないなかで、母さんは命を削って教えてくれた。

母さんが死んだあとは、独学で。

「……さっきの…、すごく響きました。マリウスを愛しているのなら全肯定しろって…」

マヤは、リヴァイがナリスに言った言葉を思い出していた。

「私もそうでありたい…。大切な人のことは全部肯定したいです」

リヴァイを見上げる瞳の奥には “その大切な人とは兵長です” という想いがあふれている。

その想いにリヴァイも応える。

「そうだな…、愛するってのは相手を丸ごと受け入れることだと俺は思う」

見つめ合う二人の瞳には、もう互いしか映っていない。

いつしか夕陽は完全に落ちて、残照がクロルバの街並みのシルエットを浮かび上がらせる。

リヴァイとマヤの距離は縮まって、丘の景色が茜色の油絵からモノトーンに変化するころ、二人の影は一つになった。

どれくらい時間が経ったかわからない。

磁石のS極とN極が引きつけ合うように自然とリヴァイの腕の中に抱きしめられたマヤは、ずっとドキドキと速くて切ない自身の胸の鼓動を聞きつづけている。

……こんなの、兵長に聞こえちゃう。

リヴァイの顔は抱きしめられているマヤには見えないが、きっと通常どおりになんとも思っていない顔をしているに違いない。

マヤはそう想像すると、自分だけがこの状況にドキドキして心臓が口から出そうになっていることが恥ずかしくなってくる。

……もう無理!

だから腕に力をこめて、リヴァイを押し返す。

「……もう帰りましょう?」


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