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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第29章 カモミールの庭で


押し返したつもりが依然としてリヴァイの腕の中で、息ができないくらいに抱きすくめられている。

相変わらずドキドキと打ちつづけている鼓動は、早鐘のようだ。

「……兵長?」

「もう少しだけ、このままでいさせろ…」

そう耳元でささやかれた声は、聞き取るのがやっとの大きさで。

その甘く切なくかすれた低い声を耳にすれば、ますますマヤの身体は熱く火照って、心臓もうるさい。

「暗くなる前に帰らないと…」

……帰りたくない。

暗くなる前に帰らないと駄目だなんて、マヤはこれっぽっちも思っていない。

ずっとこのままリヴァイの腕に抱かれて、匂いに包まれていたい。

その反面、やっぱり密着しているのは恥ずかしい。

……だって私だけドキドキしてるんだもの。

もう一度、全力でリヴァイの腕の中から抜け出そうとしたら。

「あ…」

リヴァイの横顔が視界に入ってきた。

……兵長の耳が…。

兵長も私と同じくらいこの状況に、ドキドキしてたのかな?

そう思うと、嬉しくなってくる。

「赤いです…、兵長… 耳が…」

「黙ってろ」

また顔が見えた。

きめ細やかな白い肌の頬が赤くなっていた。

………!

絶対、なんとも感じていないような、いつもの無表情でいると思ったのに。

こんな顔をしていたなんて反則です、兵長…!

リヴァイの照れた赤い顔にマヤは胸が締めつけられて。

だから逃げようとリヴァイを押し返していた腕の力をゆるめた。

その途端にぎゅっとリヴァイに抱きしめられる。

「……兵長もドキドキしていますか?」

「野暮なことを訊くな…」

「だって、赤いから」

「マヤも赤いだろうが」

「私も…?」

マヤはきょとんとして、リヴァイの顔を見上げた。

ドキドキして苦しくて、リヴァイの顔が赤くなっているのを知ってもっと苦しくなって。

でも自身の顔が赤くなっているかどうかは考えてもみなかった。

「あぁ、すげぇ赤いから」

リヴァイはそうささやきながら、マヤの赤く染まっている顔のなかでも一番目を引く赤い場所を見つめている。

それは、くちびる。

残照も消えゆくなかで、世界が影絵のようなシルエットに変貌していくなかで… 異彩を放っているマヤの紅いくちびる。ぷるんと揺れて、リヴァイを誘っている。


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