第16章 Dilemma【青峰大輝】
「色々本当にごめん。つばきはもう愛想尽きちまったのかもしんねぇけど……離婚は……考え直してもらえねぇか……」
つばきの実家に来て、つばきの顔みて息子をあやして、この2人の存在が自分の生きる意味だって再確認した。
自己満や思い込みじゃなく、2人が望むことを俺がやらねぇといけねぇってことにこんな風にならなきゃ気づけねぇなんてダメ男すぎるけど、それでも離婚だけは絶対にしたくねぇ。
「あの……謝るのは私の方で……全然愛想は尽きてなくて、どっちかと言ったら愛想尽かされるのは私かなって……私は離婚は全然考えてないんだけど……」
「……じゃあつばきは、俺と離婚したくてこっち来たわけじゃねぇってことか?」
「うん……」
なんかすげぇホッとした。
つばきが離婚考えてねぇからって今まで通りでいいなんて思わねぇけど、実家に帰ってきたのが離婚前提の別居のつもりじゃなかったことは心底ホッとした。
「あたし、大輝にずっと冷たくしちゃってて、一昨日も……あんな言い方するんじゃなかったって思って、謝りたかった。でもなんか色々気持ちとかぐちゃぐちゃで、ごめんねって言えなくて……大輝がお仕事行ってる時は、今日帰ってきたら絶対に優しくしようって思ってるのに、全然できないし、頼まれてたクリーニングとか忘れて、悪いのは自分なのに、心の中で大輝に八つ当たりしてて……それをそのまま態度にも出して、大輝があたしのいるお家じゃ休めないんじゃないかって思ったの」
休めねぇなんてなかった。
つばきと息子がいる空間は、2人がいてくれるだけで俺を癒してくれたし、仕事頑張らねぇとって思える理由になってた。
クリーニングなんか、子育てでクソ忙しいつばきに子供が産まれる前と同じように頼んだ俺が悪い。
忘れてるのだって脳内があんだけ変化してりゃ仕方のねぇことだ。
「俺、全然戦力になれてなかったよな。実家戻るってメッセージ読んだ時、中学ん時のバスケ部の奴らといて、そいつらに言われて、チビが生まれてから今まで自分がどうだったのか初めて振り返った。やって欲しいことがありゃ言ってくれるって多分思ってた。けど、言う体力すら残ってねぇんだって今更分かった。それに……無神経に触ったことも本当にごめん」