第16章 Dilemma【青峰大輝】
夜二人で話すこの時間
これをするようになってから、すれ違いが減って、あたしの物忘れも大輝がフォローしてくれるおかげで生活の中のイライラがすごく減った。
授乳が終わったり、夜泣きがなくなったりして体が楽になった事もあるけど、1番はやっぱり大輝があたしの言うことや希望をしっかり聞いて寄り添ってくれて、して欲しいことを的確にしてくれるおかげで本当に色んなことに余裕が持てるようになった。
そして、それは時間とかそういうことだけじゃなくて気持ちの面でもそう。
「あのね、頻度は妊娠前みたいにはいかないと思うんだけどね……もうね、気が向いてない時期終わりました」
「……マジで?」
「うん」
「無理してねぇ?」
「うん。してない」
あたしのこの可愛げのない言い方でも、大輝は嬉しそうで、ぎゅってしてキスしてくれた。
どこかで伝えなきゃって思ってたけど、なんか恥ずかしくて言えなくて、でもずっと何も言わずに急かさずにいてくれる大輝にどうにかして言いたいって今日相談した。
そしたら、そういうのはストレートに言うか、こっちから誘うしかないって言われて、久しぶりなのに誘うのはハードルが高すぎて、普通に言おうと思ったのに可愛げのない方に全振りした。
「なら、遠慮しねぇけど、気分じゃねぇ日とか疲れてる時は断っていいし、痛てぇとか不快感ある時は我慢すんなよ」
「ありがとう」
「こっちのセリフだ。ありがとな。」
家出から10ヶ月。
あの時、大輝があたしを迎えに来てくれて、夫婦のままでいられて本当によかった。
大輝が離婚したくないって思っててくれてよかった。
大好きで結婚したのに、あたしは大輝をたくさん傷つけたし悲しい思いもさせてしまった。
ありがとうもごめんねも言えないせいで大輝に自分が悪かったんだって思わせてしまった。
「大輝が旦那さんで本当によかったってずっと思ってるよ」
「俺と結婚してくれてありがとな。……愛してる」