第16章 Dilemma【青峰大輝】
大輝に返事をしてる間に結局お母さんがご飯を用意してくれていて、それを食べているとインターホンが鳴ってお父さんが玄関に向かった。
「つばき、大輝君きたぞー」
「えっ?!」
あまりに驚いて、自分でもびっくりするくらい大きな声が出たせいでインターホンで起きなかった息子が起きて泣き出した。
「大声出すから起きちゃったじゃないの。……声のでっかいママで困りますねぇ~」
驚いてアタフタしてるあたしを他所に、お母さんは息子のところに行って素早く抱き上げてあやしてくれてる。
「大輝くん、いらっしゃい。お昼食べた?」
「あ……いや。これ、昼とか夜に……」
「ありがとうー!いいのー?気を使ってもらって悪いわねぇ。あら、パパのとこ行きたい?」
たくさん荷物を持つ大輝に息子が手を伸ばして、起こされたせいでふにゃふにゃと泣いている。
荷物をセンターテーブルに置いて大輝が抱っこすると、息子はまた寝るつもりなのか自分の耳を触り始めた。
「あ、これだけ冷蔵庫入れてもらえると……」
「じゃあありがたく。ご馳走です」
「いえ」
大輝はうちの親も自分の親も分け隔てなく接して、うちでは気も使うだろうにこっちに来たら実家に一緒に泊まってくれる。
大輝にゆらゆらされて、昨日遅くまで泣いていた息子は2度目の眠りに入ろうとしてる。
「お父さんとちょっと買い物出るから、留守頼んでいい?」
「あ、うん」
「じゃあ大輝君、ゆっくりしててね。夕方戻るから、良かったらみんなで夕ご飯食べよう」
「すません。ありがとうございます」
お母さんはあたしと大輝が話すんだって分かってて、お父さんと一緒にあっという間に家を出て行った。
「……早かった……ね……来るの」
早かったとかじゃない
来てくれると思ってなかった。
少し実家で頭を冷やして、帰ってから話すとばっかり思ってた。
「仕事、大丈夫?」
あたしが家を出たせいでこうなってるのは間違いないのに、心の準備が全然できてなくて、どの口が言ってるんだって突っ込まれそうなことを言ってしまった。