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【黒子のバスケ】短編集

第16章 Dilemma【青峰大輝】


「なんかあったの?大輝君には連絡してある?」

「うん。連絡はしてある。ちょっと大輝にゆっくりして欲しいだけ」

違う。
ほんとは全然ちがう。

あたしが最低すぎて、大輝に嫌われてしまいそうで、あたしがいたら大輝が帰ってこないかもしれないと思うと家にいられなかった。

だけど、夫婦のことを自分の親に話すってあんまり気が進まなくて、駅に迎えに来てくれたお母さんに適当な嘘をついた。


「家着いたらちょっと寝たら?おチビちゃんお母さんみるから」

「ありがとう。いいの?」

「いいよ。夕飯何食べたい?」

「なんだろ。……あったかいもの」

「じゃあ鍋にする?このままお買い物して帰ろうか」

「うん」

大輝にもゆっくりご飯食べて欲しい。
いっつもあたしがバタバタしてるせいで、大輝もすごい早さで食べるようになっちゃったから。

子供が泣いてるとご飯中断してあやしてくれたり寝かしつけたりしてくれてて、きっと大輝もあたしと同じでご飯の味なんて全然してないと思う。

大輝はお肉の方が好きなのに、母乳の為にお魚が多くなってても1回も不満を言ったことは無いし、買ってきてくれる時だって揚げ物とかお肉を避けて選んできてくれる。

作り置きはお肉を多くして、照り焼きも作ったから、あたしに気を遣わずに食べて欲しい。


それに、お風呂もゆっくり入って欲しい。
風呂は俺がやるからその間だけでも休めって言ってくれて、お仕事早く終わって帰って来ると必ずお風呂から寝る用意まで大輝がしてくれてる。
遅く帰った日だってお風呂入ったら必ずお風呂掃除してから出てきてくれてる。



友達の旦那さんの話とか聞くけど、こんなに色んなこと頑張ってくれてるのって大輝だけだったのに……

なのにあたしは、普段も大輝に冷たくて、昨日はあんな風に拒絶した。


今朝、大輝は普通でいてくれたのに、あたしは大輝の顔も見ずに避けるようにしてしまった。



優しくしたいし、ありがとうって言いたいのに……

気持ちと行動がバラバラで少しも素直になれない。



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