第16章 Dilemma【青峰大輝】
今日はたまたま赤司んとこに全員顔出す予定があったから、久しぶりに飯って話を前々からしてたけど……
「わり、今日無理だ」
「どうしたんですか?」
「俺……マジで離婚される……」
「ずっと上の空だと思っていたが、何かあったのか?」
「つばきが……実家帰っちまった……」
息子が産まれて、俺なりに出来ることを精一杯やったつもりでいたけどつばきを全く幸せにしてやれてなかった。
それどころか、話し合う余地すら貰えねぇ程嫌われた。
「行かねぇと……」
「何があった?きっかけは必ずあるはずだ。思い出せ。無策で行っても何も解決しないぞ。きちんとこれまでの事を整理するんだ。」
「やべぇ……なんも考えらんねぇ。昨日すげぇ拒否されたことしか思い出せねぇ」
考えてぇのに、つばきとも息子とも一緒にいられなくなるかもしれねぇって思うと首を絞められたみてぇに息苦しくて、脳内がごちゃごちゃする感じがして、全く思考が働かねぇ。
目の前が真っ白になって、冷や汗なのかあぶら汗なのかよく分かんねえものが吹き出す感じがする。
「とりあえず落ち着くのだよ」
「青峰っち。1回座ろ」
「はい。お水飲みなー」
こいつらがこの部屋に来たことすら気づかねぇくらい視野が狭まって、脳がめちゃくちゃ熱くなって、信じられねぇ速度で心臓が脈打ってる。
「昨日何かあったんですか?」
「……昨日……チビ寝て、二人でソファいた時、ちょっと触っちまって……そしたらめちゃくちゃ拒否られて、朝はまぁ普通っちゃ普通だったけど目合わせて貰えねぇまま家出て……やべぇ……すげぇ嫌われてんだろこれ」
言葉に出すと、自分がどれだけ嫌われてんのか認識させられてるみてぇで焦りに拍車がかかって、握ったスマホが手から滑り落ちそうになる。
「今産んでからどんくらいだっけ?」
「6ヶ月半」
「青峰っち……それはちょっとダメっスよ。まだまだ夜泣きとかあるっしょ?寝かせてあげなきゃ奥さん可哀想」
可哀想……だよな
けど、言い訳になっちまうけど、抱きてぇとかそんなつもりじゃなくて
いや、抱けるなら抱きてぇけど、昨日は抱くために触ったんじゃなくて、少し抱きしめたかっただけだった。