第2章 廻りだした歯車は(朔深)
「うん。あったよ。主人公の男性の心情には特にね 」
何でもないようにさらりと言ってみせると、深琴の顔がみるみる強ばっていくのが分かった。
「朔也…あなた…!」
「なんてね。冗談だよ。実はあんまり面白くなかったんだ」
僕の言葉を受けて彼女の表情は、安堵とほんの少しの怒りと悲しみの入り交じったそれになる。
「ばっ…馬鹿げた冗談はよしてちょうだい!」
深琴はそう言うと、ピシャッと扉を閉めて図書室を出て行った。
あとには僕とテーブルの上の本が残される。本当は既に手遅れだと自覚していた。