第2章 廻りだした歯車は(朔深)
『好きだよ。これからはずっと、君と一緒にいよう―』
そう男性が想い人の女性に愛を告げるシーンで、その小説は終わっていた。
…ありきたりだと言ってしまえばそこまでだけど、これはこれで結構面白かった。
「あら、朔也じゃない。何読んでたの?」
いつの間にか図書室に入ってきていた深琴が、ふいに後ろから声をかけた。
「やぁ、深琴」
「…へぇ、朔也もこういう本読むのね。少し意外だわ」
今読み終えてテーブルの上に置いたばかりのロマンス小説の表紙を見ながら深琴が言う。
彼女もこの小説を読んだのだろうか?
「小説は元から好きだったよ。登場人物と共感できる点は味わい深いものがあるね」
「そう…。この本にも、共感する点はあったのかしら?」
深琴の目はこちらを探る色をしている。…ほんの少し、「駆け引き」がしたくなった。