第2章 廻りだした歯車は(朔深)
僕のために必死に表情を悟られまいとする彼女。だが彼女のそんな努力すら愛おしいと思うほど、僕は彼女に惹かれてしまっていた。
絶対にこのことは彼女に知られてはならない。だからこそ、自分の想いを伝えられたこの小説の主人公を、自分は羨ましく思っているのかもしれない。
―人の感情は、止めることが出来ない。一度廻りだしたら、自分の力ではもう止まれない歯車のように。
―流石に怒らせてしまったかもしれないな。後で謝っておかないと。
そんなことを考えつつ、本棚に小説を戻し、僕は図書室をあとにした。