第1章 それを人は恋とよぶのだ (駆こは)
買い物袋を抱えた帰り道、通りの人は明らかに多くなっていた。
「どうしてこんなに…混んでいるんでしょう?」
「きっと、あれ」
七海が視線で道の先を示す。はっぴを着た人を乗せた御神輿が、街を練り歩いていた。
「わぁ…!すごいです…!」
「あの御神輿がきっと、この祭りのメイン。ここにいる人たちは、これを見るために集まってる」
御神輿…と彼女が呟く。きっと帰ってから調べるつもりなのだろう。
お囃子やら人々の掛け声やらで、通りは一段と賑わいを増していく。
その喧騒の中だったのに、何故か七海にはこはるのちいさな呟きが聞こえた。
「駆くんも、ここにいたら一緒に楽しんでくれるでしょうか…」
「!」
七海はまた横に立つこはるを見る。彼女の瞳は眼前の御神輿ではなく、その先にあるもっと遠い何かを捉えているように感じられた。