第3章 無口な君は誰がために(暁七)
…よく見たらこいつ、結構睫毛長いんだな…。などと俺がぼんやり思っていると、
「何?」
「あっ、いや」
視線に気付いた不知火がこちらを向く。俺は慌てて目を逸らした。そして、俺にしては珍しく言葉を選んで訊ねる。
「お前も誰かのために料理とか…すんのか?」
「え?」とだけ言い、奴は問いにすぐには答えない。いつだってそうだ。何でも思ったことを口にする俺と違って、こいつは言葉を選んで発言する。その行為は、自分の本心から遠ざかることではないのだろうか。本当のこいつの本心は―、