第3章 後編
「お一人で退屈されていますか、お嬢さん」
青年は白を基調とした軍服に金の肩章、腰には儀礼用の細剣を身につけていた。
歳の頃は二十代前半だろうか、整った顔立ちに銀に近い金髪、穏やかだがどこか探るような碧眼をユーリへ向けていた。
青年はユーリの向かいの椅子に断りもなく腰を下ろし、給仕にワインのグラスを頼んだ。
王女の用意した席でこのような振る舞いができるということは、それなりの地位がある人なのだろう。
「失礼、名乗るのが先ですね。僕はレオンハルト。レティシアの兄であり、この国の騎士団長を務めているんです」
にっこりと笑うその顔は人好きのするものだった。
だが、アーデンとレティシアが踊っている最中にこの席に来たというタイミングが、偶然とは思えなかった。
「ご兄弟がいたんですね」
世間に疎いユーリは当然この国の事情など知らない。
もしかしたら失礼に値するかと言葉にした後に後悔したが、彼は気にした様子もなくユーリに色々と教えてくれた。
「はは、よく言われるよ。本当は僕が国王になるべきなんじゃないかってね。…でも色々あって、僕も妹もそれぞれの野望を叶えるためには、この形が一番だったんだ」
どうやら彼は国王という立場に興味は余りないようであり、話を進めていくと、神話の研究?のようなものに興味があるようだった。
「僕はいつか、この世界の神を見つけ出すことが夢なんだ」
「それはまた…どうしてですか?」
神様って見つけるものなのだろうか…そもそもユーリの知る神様って碌なイメージがないから何故興味があるのか疑問があった。
だけど、ユーリの質問に彼は笑みを深めただけで、理由は教えてくれなかった。
ユーリは一瞬きょとんとしたが、話さないのであれば深く掘り下げる気はなかったので、見つかればいいですねとだけ伝えるだけにとどまった。