第12章 Bout
「やるな」
「へへ。でも轟くん、だいぶ手加減してたでしょう」
「綿世の特訓だからな。後半はつい熱が入っちまったが」
互いに力量を測りながら手合わせをしているうち、だんだんと加減を緩めていくのがわかった。
予備動作や視線で次こうするっていうのをわざとわかりやすく示すのだけど、白熱するとそれが疎かになる。
ヒートアップしないようにお互い気をつけないと。
「戦闘での接触は問題なさそうだったな」
「⋯⋯そういえば、平気だった!」
なぜかいつもの授業みたいな戦闘訓練と錯覚してしまっていた。
轟くんはきょとんとした顔を向ける。
「目的忘れるくらい気にならなかったの。戦闘中の接触は大丈夫かもしれない!相手や触れ方によるところもありそうだけど」
「そうか。かなりよくなってるんじゃないか。次は綿世が敵に捕まったケースで訓練したほうがいいな。そのうちほかのやつにも協力、を⋯⋯」
「うん!やってみて大丈夫そうならほかの人にも頼んでみるよ」
じゃあ早速その想定で再開を、と思ったが、轟くんはなにか言いよどみ罰の悪そうな顔をしている。
「ん?」
顔をのぞきこんでみても、なかなか言葉が返ってこない。
うまく言語化できず悩んでいるような雰囲気だ。
「やっぱり心配?」
「⋯⋯あぁ、心配、なのかもしれねぇ」
「私もA組の人ならって思ったけど、もし暴走したら危険な目に合わせちゃうよね。となると、なかなか気軽には頼めないし⋯⋯そのあたりは要検討だね」
本来、轟くん相手でもそうなんだけど。いくら積極的に協力してくれてるとはいえ、だいぶ甘えてしまっているな。
今後の学業のことを考えるといつまでも頼りっぱなしというわけにはいかない。ある程度のところで解放してあげきゃな、と思う反面、この関係が終わってしまうことにさみしさを覚える。
轟くんの表情から気持ちを読み取ることはできないけれど、もしかしたら同じような気持ちなのかもしれない。