第105章 光の癌(三雲)
それにより…
三雲修、空閑遊真へのマスコミによる被害もそこまで深刻にならずには済んでいた
正確には…ならないようにした
と言う方が正しい
しかし…傷が癒える訳でも、無かったことになる訳でも無い
所詮綺麗事に過ぎない
被害を受けた側からすれば、だから許せと求められ強要されているように感じるという想いまでは否定出来ない
喪った側は…永遠に喪ったまま
だから繰り返さないよう努めなければならない
しかし…
『また同じ状況になれば、同じ選択をする』と三雲修は公言してしまっていた
それが沢山の人を不安へ駆り立て、不信感を呼ぶことになっていた
その拍車を食い止めていたのが恵土だった…
長年に渡り従事し、マスコミもその家族も変わらず助け、守り、尽くしてきた
どれだけ酷い言葉を掛けられても…大事にしようとしていた…
絶対とも言える、変わらぬ献身に…誰もが信頼を抱き、『英雄』『伝説のボーダー隊員』として認識していた
その恵土がクラフターへ異動した
更に新型トリガー
新たな形態や様々なことが明かされてゆき
新たなる噂や話題により
三雲修への悪評やトレンド入りが払拭され守られた
だからこそ…三雲修は恵土の為に何かしらしたいと願い、動こうとしていた
たとえ本人が望まなくとも…
自分がそうするべきだと思ったから……
それが恵土の護衛役に志願することだった
遊真からの再三の制止、レプリカからも止めが入ったが
それを振り切ってのものだった
やめといた方がいい、逆に悪化するか裏目に出るのは間違いない、せめて視界の入らない所から守る方がいい、接点を作らないようにと迅さんからも言われていただろ?、と遊真は何度も面会を止め
記憶喪失になるほど思い出したくないと泣き叫んでいる相手と会うのは些か乱暴だと思う、とレプリカは言い含めた
城戸司令も、林藤さんも忍田さんも知られぬまま
その内に独断で行動に起こし、そのまま…事へ至った
そしてそれが…恵土へ更なる致命傷を起こしていた
だから陽太郎は叫んだ、帰れと
しかし…結局は…
自分が後悔しないように、それが三雲修にとっての最優先であることに何も変わりはなかった
それが更に大きく深く傷付けた
マスゴミよりも何よりも…
見るだけで吐き気を催すほどに…
三雲修が癌として完成した瞬間だった——