第74章 融和
その時には、もう既に…ベル・クラネル個人に関する記憶、いた証が完全に消えていた
元から産まれていなかった存在になった
ヘスティアもウラノスもフェルズもヘスティア・ファミリアの全員が…
先程始祖神様が言っていた『操作する』とは…そういうことなのだろう
誰かを意のままに動かすのではない
操り人形にするのでもない
ただ…元からいない存在として、誤差があるとしても些少のもののみになるように調整する
世界を管理する上では、欠かせないものだ――
今…僕等に残されてあるのは…ある一つのファミリアを率いる団長が犯した愚行…
ルアンは拉致監禁されて嵌められ裏切り者とされ、冒険者生命を絶たれた…
イシュタル・ファミリアは団長を狙った為、フレイヤ・ファミリアによって壊滅…
団長が誰かを救おうとして街を壊して回り、傷付けて回り、無罪とされたことで怨まれ、ファミリアの本拠地に火を付けられたことも相まって、
『神殺し』の禁忌を犯そうとした瞬間、つい先程の早朝にファミリアごと雷に打たれて消され、無数の光によって浄化され、建物は差し押さえられた――
まだ謝罪や感謝を徹底している分、癌には至ってないらしい…
その為だけに産まれ、殺される存在…
それは替え玉ではなく、試練を歩ませ学ばせる為だけのものなのだという。
今も生き続けている3人組の代わりのものを替え玉と言うそうだ…
『ギルド』の主神は元からおらず、
神時代が始まる千年前、ギルドの地下でダンジョンに『祈祷』を捧げ続ける神器が下され、
神々の手によって総力を持って結集されたこともあり、モンスターの地上進出を今もなお変わらず防ぎ続けている。
ゼノスとの仲立ちと建物の管理はガネーシャが全て取り仕切っており、ケイトへ下賜された。
今…皆は変わらず、いや…
以前よりも『生き生きとした表情』で生きている
厄介者が消え、脅かされる危険性も減り、安心したのだろう…
冒険者にトラウマを持つ人がいて、
やっと外に出れるようになった矢先にあんなことがあって、
更に深い傷を残し、自殺しようとまでする始末…
神国で保護し、治療場で今も治療中な訳だが…‥
それを軽視してまで、軽視しておいて、守りたいものとは、守るべきものとは一体なんだ?
そんな疑念に駆られる中、その土地をどうするかを聞いてみた