第51章 身勝手な優しさ
「ルナ〜…………」
ルナが飛び去った方向を見つめて、カカシは呟いた。
「ん、どうしたカカシ?うちはルナを逃したのが、そんなに残念だったのか?」
そこに、ガイがやって来た。
「いや……俺のせいで……ルナが……ルナが……」
「ルナがどうかしたのか?」
無神経にも、ガイが先を促す。
「いや……俺のせいで……ルナが…………ノーパ……グハァッ!」
カカシは鼻血を出して倒れた。
脳内では、去っていくルナの後ろ姿がフラッシュバックしていた。
「うぉっ⁈どうしたカカシ!ルナに何かされたのか⁈」
狼狽えるガイの前に、ナルトとサクラがやって来る。
「…………カカシ先生、ヘンタイだってばよ……」
「…………サイッテー……」
「そんな〜……」
教え子二人に白い眼で見られて、カカシはハアァと溜息を吐いた。
「姉さん…………」
我愛羅を取り囲む軍団やカカシ班の三人から離れて、サスケは一人呟いた。
(姉さん……アンタは……やっぱり…………昔のままなのか……?
……自分を試すなんて嘘で、なにかやむを得ない事情があったとか…………
そうだ、それを言うなら、兄さんだって…………やむを得ない何かが……俺の知らない何かがあったとか……
……俺は無力で、何にも知らなかった…………暗部にいたアンタ達が、毎日どんな任務をこなしてたのかも……
……一族のことだって……俺は、何も知らされなかった…………)
サスケは、自分の視点からだけでなく、ルナやイタチの視点に立って考えることで、
復讐を目指すことが本当に正しいのか、疑問を持ち始めていた。
(姉さん……アンタは優しい……今も昔も…………そして強くて……俺の憧れだった……)
「姉さん…………もう俺、何が何だかわからねぇよ…………」
サスケは木の幹にもたれて、しばらくぼうっとした。